Meirin Attunement Room(明倫調律室)
[2018, Japan] installation
自身を調律するための体験型インスタレーション作品。インドネシア、オーストラリア、および日本のアーティストたちが京都に集まり、音や楽器に焦点をあてた滞在制作を行うコラボレーション・プロジェクト「The Instrument Builders Project Kyoto: Circulating Echo」から委嘱を受けて発表した。中川真氏の著書『平安京 音の宇宙』よりインスピレーションを得て、調律された都市の中で——聴取を通して——自分が世界のどこにいるのかを知るような感覚を想像するための装置として創作した。雅楽奏者や絃の製造者らの協力のもと、京都在住の陰陽師と協働し、京都芸術センター茶室内の東西南北および中央のそれぞれの方角に、呼応する調子の音叉や神獣のシンボル、色や言葉などを置き、陰陽五行説に基づいた一つの音宇宙を構築した。東西南北に座った観客は、音叉から聞き取った音を自ら声にして空間に放つ。中央に寝転んだ観客の身体は、部屋と共鳴する琴の胴体となり、各方角から聞こえる音との関係の中で自らを調律しながら絃を奏でる。つまり、この部屋そのものが楽器となり、この部屋を演奏する観客の身体もまた楽器となる。『明倫調律室』を複数人で演奏するために、「柄杓を一回鳴らしたら奏者たちは一斉に方角を移動する」などいくつかの遊びのルールを設け、異なる奏者によるパフォーマンスを複数回行なった。
初演・会場:2018年9月16日 京都芸術センター
共同制作者: 樅山祥子、糺命、ヴキール・スヤディ、 ミスバッフ・デーン・ビロク、ケイトリン・フランツマン 協力: 伊藤えり(笙奏者)、株式会社 鳥羽屋、無鄰菴、 岡山コケの会、モアレ
委嘱:The Instrument Builders Project Kyoto: Circulating Echo(ザ・インストゥルメント・ビルダーズ・プロジェクト・キョウト-循環するエコー)
Calling from a Changtang Steppe(チャンタンの高原から)ほか
[2014, India] site-specific performance, sound installation
Earth Art Project 2014芸術祭の招聘で、標高3700メートルから5000メートルのヒマラヤの高地に滞在し、2つの公立学校にて生徒や先生たちとの恊働プロジェクトを企画した。温暖化の影響や無計画な開発によって環境が急激に変化しているラダック地方において、遊牧民や農民の子供たちと一緒に大地から受け取っている様々なサインをドキュメントし、音楽に翻訳するワークショップを実施した。山から返ってくる木霊や強風によって演奏されるボトルのオルガンなどを用いて、環境要素を活かしたパフォーマンス作品を創り、子供たちの演奏で発表した。また、それぞれの学校にて、観客がヘッドフォンで鑑賞するサウンド・インスタレーション作品を発表した。
楽器編成:創作楽器、太鼓、ベル、チベットギター、声、ほか
演奏:ナング・ミドルスクール、及びノマディック・レジデンシャルスクール・プーガの生徒たち
初演・会場:2014年7月 ナング・ミドルスクール、8月 ノマディック・レジデンシャルスクール・プーガ(ラダック、ジャンムーカシミール州、インド)
委嘱:Earth Art Project2014
A Song Pouring(そそぐうた)
[2009, The Nederlands] audience participatory sound and visual installation
カメラ・ジャパン映画祭主催による日蘭グループ展「Kappalai」の委嘱をうけ、濱野貴子(美術家)とともに観客参加型の音響空間インスタレーション作品「A Song Pouring」を共作発表した。観客は、歴史的な船舶の寝室にて公共と私的な空間の境界線上に横たわり、未来の記憶へ秘密の歌を注ぐ。ロッテルダム海事博物館で展示をオープンしたあと、ライデン日本博物館シーボルト・ハウスに巡回し、異なる空間のために再演出した。
初演・会場:2009年9月 ハーベン・ミュージアム(ロッテルダム、オランダ)、11月 シーボルト・ハウス(ライデン、オランダ)
委嘱:カメラ・ジャパン映画祭Kappalai展
Filter Works:
© Tomoko Momiyama